日本人が外国人を養子にするには

対応のポイント

届 出 人 養親または縁組の代諾者
届 出 先 養親の本籍地または所在地・養子の所在地の市区町村役場
届 出 書 類 養子縁組届
添付書類等

1 家庭裁判所の縁組許可の審判書の謄本

2 養子の出生証明書・訳文

3 養子のパスポート

4 父母の同意書(審判書中に同意の旨に記載があれば不要)

 

法律上のポイント

1 外国人を養子にする場合の準拠法

日本人が外国人を養子にする場合、どの国の法律により要件を考え手続を行うかがまず問題になります。

法の適用に関する通則法31条によれば、縁組当時の養親の本国法によるとされ、養子の本国法が養子縁組の成立につき養子もしくは第三者の承諾もしくは同意または公の機関の許可その他の処分があることを要件とするときはその要件も備えることを要するとしています。

したがって、養親の本国法である日本の法律が実質的要件の準拠法となりさらに養子の保護要件についてはフィリピン法の要件を満たすことが必要です。

そして、手続も日本法によることになります。

 

2 日本民法における養子制度

日本民法には普通養子と特別養子の2種類の養子制度があります。

普通養子は養子の実方の関係を保ったまま養親の親族に取り込まれる制度であり、特別養子は実方の関係を保ったまま養親の親族に取り込まれる制度であり、特別養子は実方との親族関係を終了させる断絶型の制度です。

 

3 普通養子の場合

 養親の本国法である日本民法の要件として、

・縁組意思の合致

・養親となる者の年齢

・尊属養子年長養子の禁止

・配偶者ある者の縁組

・未成年養子の場合の裁判所の許可

・15歳未満の者の養子の代諾

の要件を満たしていることが必要です。

 本国法の要件(養子の保護要件)として、

・養子本人の同意(10歳以上の場合)

・養子の実父母の同意

・養親の10歳以上の嫡出子および養子の同意

・養親と同居する10歳以上の養親の非嫡出子の同意

・裁判所の決定

が必要となります。

なお、裁判所の決定については日本の家庭裁判所の許可の審判で代行することができます。
ただし、この決定のためには最低6か月の試験監護を経る必要があり、日本の家庭裁判所による場合も同様の扱いになります。

また、家庭裁判所は、養子の保護要件を具備しているかどうかをも含めて縁組許可の審判をします。

未婚の日本人が外国人成年者を養子するには

対応のポイント

渉外的な養子縁組の準拠法は、法の適用に関する通則法31条1項に規定されています。
この1項前段の規定は、養子縁組の実質的成立要件といわれ縁組当時の養親の本国法とされています。
養親は日本人男性ですのでその本国法は日本の民法によります。
1項後段の規定は、養子となる子供の保護のために規定され保護要件と言われます。

手続は、日本法によります。

申 立 人 養親となる日本人男性
申 立 先 養親となる日本人男性の住所地を管轄する市区町村役場
申 立 書 類 養子縁組届書
添付書類等

1 養親となる日本人男性の戸籍謄本

2 養親となる外国人男性の出生証明書

3 養子となる外国人男性の実父母の同意書

4 養子となる外国人男性のネパール王国政府の許可証明書

5 養子となる外国人男性の外国人登録原票記載事項証明書

6 養子となる外国人男性のパスポートの写し

 

法律上のポイント

1 養子縁組の実質的成立要件の日本民法の検討

 養親は日本人男性ですのでその本国法は日本の民法によります。日本民法での養子縁組の成立要件を当事者双方が満たしているかを以下検討します。

 ・縁組意志の合致は当然ある。

 ・養子能力

 ・尊属養子年長養子の禁止

 ・後見人と被後見人の縁組

 ・夫婦共同縁組

 ・未成年養子の裁判所の許可

 以上日本民法に規定される養子縁組について当事者双方すべての要件を満たしていることになります。

 

2 養子の保護要件たるネパール法の検討

外国人男性の保護要件はどのようなものかは、本国法としての養子縁組法がどのようなものかを知る必要があります。

以下の記述は外務省に照会した結果によります。

 

3 養子要件具備証明書

養子の保護要件を満たしている文書として養子要件具備証明書というものがありますが、これは各国その様式はまちまちですが養子の保護要件を満たしているか個別に検討する必要はなくなります。

そしてこの養子要件具備証明書の添付がないときは、申述書と宣誓書で変えることもできます。

 

手続のポイント

創設的届出なのでその法律行為の方式は法の適用に関する通則法31条で行為地法によりますから日本法が適用されます。そこで届書に養親となる者と養子となる者および証人2名の署名捺印が必要です。証人は日本国籍を有する者に限られませんので外国籍の者でもよいです。

入籍する戸籍または新しい本籍の欄は、養子になるものが外国人のときは、記載の必要はないので空欄のままです。

 

 

外国人が日本人配偶者の子を養子にするには

対応のポイント

養親の本国法の定めに従い、原則として家庭裁判所の許可が必要です。
他方、養親または養子のアメリカ国際私法上の住所が存する場合には、法の適用に関する通則法41条の反致が成立し、家庭裁判所の許可は不要となります。ただし、その場合にも家庭裁判所の許可を受けることもあります。

申 立 人 養親となろうとする者または代理人
申 立 先 養親の住所地を管轄する家庭裁判所
提 出 書 類 渉外養子縁組許可申立書
添付書類等

1 妻の戸籍謄本  1通

2 未成年者の戸籍謄本  1通

3 夫の登録原票記載事項証明書  各1通

 

法律上のポイント

1 原 則

通則法31条1項は、「養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。
この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない」として、養子縁組の実質的成立要件につき、まず、縁組の当時の養親の本国法によることとしています。

そこで、養親となるアメリカ人夫の本国法であるアメリカ合衆国インディアナ州法を見ると、同法は未成年者の養子縁組は裁判所の養子決定によって成立するとされており、配偶者の直系卑属を養子とする場合にも日本民法798条ただし書のような例外は認められていません。

したがって、原則として、アメリカ人夫が日本人妻の連れ子を養子にする場合にも、アメリカ法の要求する成立要件に従い、家庭裁判所における許可が必要となります。

 

2 例外一反致(法の適用に関する通則法41条)が認められる場合

 (1) 通則法41条本文は「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による」としています。

 日本法を準拠とした場合、

外国人妻の非嫡出子を養子にしたい

対応のポイント

 まず、当事者がどこに住んでおり、どこで養子縁組をしようと考えているかを確認する必要があります。

届 出 人 養子および養親
届 出 先 養親の本籍地または届出人の所在地の市区町村役場
届 出 書 類 養子縁組届
添付書類等

1 家裁の許可審判書

2 養子の出生証明書・訳文

3 養子のパスポート

4 父母の同意書

5 養子の出生証明書・訳文

6 養子の住所登録証・訳文

7 本国養子縁組登録証・訳文(報告的届出の場合)

 

法律上のポイント

 日本で養子縁組をする場合と本国で養子縁組をし、これを日本に届ける場合があります。

 〔日本で養子縁組をする場合〕

 (1) 法の適用に関する通則法31条1項は、養子縁組の実質的成立の要件の準拠法につき、縁組当時の養親の本国法によるとし、さらに「養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件(保護要件)をも備えなければならない」といています。

 形式的要件(方式)については、通則法34条でその行為の成立を定める法律によるとし、さらに行為地の法律によることもできる旨規定しています。

 (2) 養親の本国法である日本法の、民法795条は、「配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない」としています。

 そこで妻も養親になる必要がありますが、妻が養親になるには本国法が準拠法となります。

 (3) 養父との単独の養子縁組をする場合に、日本法上のその他の各要件を満たしていることが必要です。

 さらに、(1)に記載したように養子の本国法の保護要件をも満たしていることが必要です。

 

〜以下要チェック〜

日本人夫婦の養子になった外国人の国籍・氏は

対応のポイント

 (1) 国籍法では養子縁組を国籍取得原因としていません。したがって、養子縁組のみでは国籍に変動はなく養子は外国人のままということになります。

 (2) 戸籍は、日本国籍を有する者について編成されるため、外国人である養子は戸籍の構成員として名欄に記載されることはありません。
単に日本人である養父母の身分事項欄の中に「国籍中国何某を養子とする縁組届出」の旨の記載がなされるのみです。

 (3) 外国人養子の姓については、その外国人の本国での姓の扱いに任されています。

 したがって、日本で、養子縁組をしても外国人の養子の姓に変更はありません。

国によっては、日本人と養子縁組をした外国人養子がその本国法上日本人養親の氏を称することを認める場合があります。
この場合には、本国で姓の変更の手続をし、姓の変更を証明する旅券等の本国官憲発行の証明書を添付して、養親が自己の身分事項欄に記された養子の姓の記載の変更を申し出ることができます。

なお、アメリカの州法・カナダの州法・フィリピンにおいては、裁判所での養子縁組の審判手続において養子の姓名を定めることを認めており、日本での養子縁組の審判手続でこれを代行し、養子縁組許可の主文の中で養子の姓の変更の許可を認めた例もあります。
しかし、戸籍実務では、これを理由にした養親の身分事項欄中の養子の氏の変更については、本国での氏の変更の手続が終了した証明書が必要であるとして、受理されないようです。

 (4) 日本の国籍を取得するには、中国人養子を日本に連れてきて帰化をするという方法によることになります。
そして帰化の際に養子の姓を日本人養親の姓にすることができます。

外国人について、身分関係を明確にするために、日本では、外国人登録制度が設けられています。
外国人登録においては、通称名の使用が許されています。

養親の姓を使わないと不便な場合には、通称名に養親の姓と同じ姓を使うことで解決するのではないかと考えられます。

 

法律上のポイント

養子の氏についての準拠法は、親子間の法律関係によるとする説、養子縁組の効力によるとする説、子の人格権の一部として子自身の本国法によるとする説、当事者の国籍所属国の氏名公法によるとする説などがあります。

しかし戸籍実務では、民法810条は日本人同士の養子縁組について規定したものであるとして、日本では渉外的養子縁組によって、日本人養子の姓は当然には変更しません。
したがって、外国例えばアメリカで養子縁組が成立し、当該外国法により外国人である養親の姓を名乗る審判が出ていても、それのみでは、日本人である養子の姓は変更しない扱いです。単に氏の変更の手続によって養親の氏に変更できるのみです。

 

外国で成立した特別養子縁組は日本でも有効?

対応のポイント

成立した養子縁組につき、法の適用に関する通則法31条の定める準拠法が求める要件を具備しているかを審査し、日本人養親との関係で特別養子縁組の要件を満たすと認められれば、戸籍上、特別養子縁組が成立したものと取り扱われます。

 

法律上のポイント

1 外国において成立した養子縁組の取扱い

養子縁組が外国の裁判所において成立した旨の報告的届出があった場合には、一般に外国の方式で成立した日本人の身分行為の報告的届出と同様、その養子縁組の成立を証する書面が戸籍法41条の証書として取り扱われ、当該養子縁組自体が、通則法31条による準拠法に基づく要件を具備しているかどうかが審査されます。

戸籍実務上、特別養子縁組として取り扱われるのは、日本民法が準拠法となる場合に限られており、外国法を準拠法としている場合には、養子縁組の成立を証する書面中に「特別養子」という文言が使用されていても、そのままでは戸籍実務上は特別養子としては扱われないこととなります。

もっとも、外国の裁判所が、養親が日本人で、法廷地であるその国の法律を適用して養子縁組を成立させた場合にも、その国の法制が養子と実親等との血縁関係が断絶するいわゆる完全養子制度をとっているときは、当該養子縁組が通則法の指定する準拠法である日本民法の特別養子縁組の要件を満たすことも考えられますから、民法817条の2以下の要件を満たすかどうかを審査し、要件を満たすと認められるときは、外国の方式により特別養子縁組が成立したものとして取り扱うことになります。

 

〜以下要チェック〜

日本人夫婦が未成年者と養子離縁するには

対応のポイント

普通養子縁組の場合は、養親と養子(養子が15歳の場合には、離縁後養子の法定代理人となる者)との間で協議離縁をすることができます。

届 出 人 養親と養子または離縁後養子の法定代理人となる者(養子が15歳未満の場合)
届 出 先 届出人の本籍地もしくは住所地の市区町村役場、または在外公館
届 出 書 類 養子離縁届
添付書類等 夫婦の戸籍謄本  1通

 

法律上のポイント

1 準拠法

離縁の準拠法は「縁組の当時における養親となるべき者の本国法」とされています。
方式は縁組当時の養親の本国法または行為地法によることができます。

 

2 日本法による離縁

 (1) 日本の養子制度には、普通養子と特別養子の2種類があります。
うち、特別養子については離縁は非常に厳格であり、法廷の事由があり、かつ養子の利益のために特に必要があると認められる場合に限り、家庭裁判所の審判によってのみ離縁をすることができるようになっており、協議離縁は認められていません。

 (2) 他方、普通養子の場合には、協議離縁が認められおり、養子が15歳以上であれば、養子と養親が協議して離縁することができますが、15歳未満であれば、養親は、離縁後に養子の法定代理人となる者と協議することになりますので、この場合には離縁後の法定代理人を確定することが必要です。
この未成年者の法定代理人の確定は、親子間の法律関係の問題となるところ、親子間の法律関係の準拠法は、子の本国法が父または母の本国法と同一の場合は子の本国法、その他の場合には子の常居所地法によるとされていますので、これに従って行うことになります。

協議が調わなかった場合には、家庭裁判所に離縁の調停を申し立てることになります。

 

手続のポイント

離縁の方式については、養子縁組当時の養親の本国法である日本法によることも、行為地法によることもできます。
したがって、離縁が日本において行われた場合には、方式は日本法によるほかないことになります。

日本の方式により協議離縁をする場合には、協議離縁の届出を届出人の本籍地または所在地の市区町村役場に出します。
日本人が海外にある場合には、その国の在外公館に届出をすることができます。

外国において外国の方式で協議離縁や裁判上の離縁をした場合には、3か月以内にその国の在外公使館に提出もしくは市区町村役場に発送しなければなりません。
この性質は報告的届出となります。その場合、外国の方式による協議離縁の成立を証する書面およびその訳文を添付します。

なお、協議離縁は、離縁届の提出により成立しますが、縁組の解消に伴い解決すべき財産的給付その他の事柄について明確にしておく必要がある場合に、離縁協議書が作成されます。

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