届 出 人 | 認知する日本人父 |
届 出 先 | 日本人父の本籍地または届出人の所在地の市区町村役場 |
届 出 書 類 | 認知届 |
添付書類等 | 1 認知および婚姻事項の記載がある父の戸籍謄本・除籍謄本 2 出生届の記載事項証明書・出生証明書・分娩の事実の記載のある母子健康手帳等 3 日本国籍を取得しようとする者の出生時から現在までの父の戸籍謄本・除籍謄本 (父が死亡している場合はその死亡時までのもの) |
法律上のポイント
1 胎児認知
認知とは、嫡出でない子とその父との間に法律上の父子関係を形成する行為をいいます。
認知の種類として任意認知と裁判認知があります。
日本民法の認知の効果は、父子関係を形成することにあり、これは、子の出生の時にさかのぼって効力を生じます。
しかし、これによって国籍、氏、親権者も影響が及ぶことはありません。
一方、母の胎内にある子を認知する胎児認知では、母の同意を要件としますが、妊娠させた日本人男性が外国人女性の産む子に生まれながらにして日本国籍を取得させることができます。
2 生後認知でも日本国籍が取得できる場合
このように、生まれてくる子供に日本国籍を取得させるためには、日本人男性が胎児認知をしなければなりませんが、平成9年10月17日に出された最高裁判決を受けて、次のような手続を経て認められれば、生後認知であっても、日本国籍を取得できるような取扱いがされるようになりました、
① 外国人女性が夫以外の日本人男性の子を出産した場合、子の出生後3か月以内に夫と子との間に親子関係がないことを確認する裁判を申し立てる。
② ①の裁判の確定後14日以内に、日本人の実父が認知の届出をする。
③ ①、②により、「嫡出確定がされなければ胎児認定がされたと認めるべき特段の事情がある」ものと認定し、この認定の妨げとなる事情がうかがわれない限り、子は出生により日本国籍を取得したものとして処理をする。
なお、①、②の期間を経過してしまった場合や、③で、認定の妨げをなる事情がうかがわれる場合には、その処理について法務局から法務省民事局あてに指示を求めるような取扱いがなされます。
なお上記通達は、外国人母の婚姻中に出生した非嫡出子が出生後に日本人男から認知された場合の日本国籍の有無について平成15年6月12日最高裁判決は、母の離婚と子の出生が時期的に極めて近接しているときは、胎児認知の届出をすることを要請することは時間的に無理を強いるものであるから胎児認知をすることに障害があったものとして平成9年判決に言う「戸籍の記載上嫡出推定がされ、胎児認知が不適法なものとして受理されない場合」であるとしました。
そして、母が離婚した翌日に子が出生し、出生の8か月余り後に親子関係不存在確認の訴えが提起され、その判決の確定の4日後に認知の届出がされた事案について平成9年判決に言う「特段の事情」あるとして日本国籍の取得を認める新判断をしました。
そこでこの判決を踏まえ「母の離婚後に子が出生し、胎児認知の届出が受理され得るにもかかわらず、同届出がされなかった場合には、同届出がされなかった事情についての資料を添付してその処理につき法務省民事局長を求める」とする通達が出されました。
なお、国籍法3条1項が改正され、国籍取得届で日本人となる途が開かれました。
書式のポイント
① 氏名欄はまだ生まれていないので胎児とのみ記入します。
② 氏名を漢字で表記する外国人(中国人・台湾人・韓国人)のときは、日本の正しい漢字で記入してもよいとされています。
③ 外国人は、生年は、西暦で記載します。本籍は、国籍を記入します。
④ 承認する母たる外国人は、署名のみで足ります。また、母の同意書に代え書式の中のその他の欄に承諾する旨記載すれば簡単です。
⑤ 外国人の氏名は、まず氏その次に名といカタカナで記し、氏と名との間には読点を付け氏と名を区別します。中黒(・)ではないことに注意します。