平成20年12月に国籍法が改正され、認知された子について届出による国籍の取得を認めることになりました。
この改正前は、準正嫡出子についてのみ届出による日本国籍の取得を認めていました。
しかし、平成20年6月4日最高裁判所は、国籍法3条1項の規定が国籍取得につき準正嫡出子と認知された非嫡出子の扱いを区別しているのは憲法14条1項に反するとの判断をし、そのため国籍法3条1項が改正されたものです。
認知された子の届出による日本国籍の取得の方法は、まず法務大臣に対して国籍取得届を提出し、国籍取得証明書を受け、戸籍にこの事実を反映するために、1か月以内に市区町村長に国籍取得届を提出する必要があります。
〔法務大臣への国籍取得の届出〕
届 出 人 | 子の法定代理人である日本人男性および韓国人女性 |
届 出 先 | 届出人の住所地の法務局または地方法務局 |
届 出 書 類 | 国籍取得届 |
〔市区町村長への国籍取得の届出〕
届 出 人 | 子の法定代理人である日本人男性および韓国人女性 |
届 出 先 | 本籍地または届出人の住所地の市区町村役場 |
届 出 書 類 | 国籍取得届 |
添付書類等 | 1 法務局の交付した国籍取得証明書 2 国籍取得前の身分を証すべき書面(ただし、国籍取得証明書中にその事項についての記載 のあるときは、添付を要しません) |
法律上のポイント
1 婚姻前に出生した子の国籍
内縁関係にある日本人男性と外国人女性の間に子が産まれた場合に、この子供は当然には日本の国籍を取得しません。
国籍法2条1号は、出生の時に父が日本国民であるとき子は日本国民とする旨規定しています。これは、出生の時点で法律上の父子関係が必要であると解されており、出生前に胎児認知がされていない限り、非嫡出子が生来的に日本国籍を取得することはできない扱いになっています。
婚姻前に出生した子について父である日本人男性から婚姻届と非嫡出子の出生届がなされた場合、この子は準正により嫡出子になります。
しかし、出生の時点では嫡出子ではないので、本来、嫡出子の出生届はできません。
しかし、戸籍法62条によりこの届出に認知の効力を認めています。
前述のように、子は日本国籍を取得していないので、父の戸籍の身分事項欄に認知の効力を有する届出があった旨の記載がされることになります。
2 日本人と韓国人の婚姻方式
日本人と外国人の婚姻の方式は、法の適用に関する通則法では、日本の国内において婚姻をする場合には、日本の方式による必要があります。すなわち、婚姻の届出によります。
3 日本人になるにはどうするか
父または母が認知した子で、20歳未満で、父が子の出生の時に日本国民であった場合で、父が現に日本国民であるときには、法務大臣に届け出ることにより日本の国籍を取得することができます。これをさらに市区町村長に届け出ます。
手続のポイント
1 届出による国籍取得の手続
届出による国籍取得をしようとする者が15歳未満の場合は親権者が、15歳以上の場合は本人が、自ら出頭して届出をする必要があります。
親権については、通則法32条により子の本国法が準拠法となります。
2 添付書類
① 父の出生時からの戸(除)籍謄本(全部事項証明書)
② 出生届の記載事項証明書、出生証明書、母子手帳など
③ 認知に至った経緯等を記載した父母の申述書
④ 国籍を取得しようとする者を母が懐胎した時期の父母の旅券または出入国記録
⑤ その他実親子関係を認めるに足りる資料(例えば、外国の方式による認知証明書、本人とその父母の3人が写った写真など)
3 署 名
届出人または法定代理人の署名欄は受付時に担当者の面前で署名するので、空欄のまま持参します。
4 子の氏、入籍する戸籍
この子は準正嫡出子ですから父親の戸籍に入り、準正時の父の氏になります。