書留便による催告書によった催告であれば催告を受けた日より1か月以内に日本国籍の選択をしないと自動的に日本国籍を失うことになります。
結果として、戸籍から除籍されるのです。
この催告が官報によるものであれば、通常このような催告を官報を見て知ることはないであろうという事情を考慮して、日本国籍を失ったことを知った時から1年以内であれば、法務大臣への届出で日本国籍を再取得することができます。
国籍法上の国籍再取得の届出によって国籍を取得したら、国籍取得の日から1か月以内(国籍取得の日に国外にいるときは、国籍取得の日から3か月以内)に、戸籍法上の国籍取得の届出をしなくてはなりません。
〔法務大臣への国籍再取得の届出〕
届 出 人 | 日本国籍を失った本人または代理人 |
届 出 先 | 本人の本籍地および届出人の所在地の法務局またはその所在地の日本大使館等 |
届 出 書 類 | 国籍取得届 |
添付書類等 | 1 「国籍選択の催告を受けて選択をしなかったため国籍喪失」 との記載のある戸籍・除籍謄本 2 国籍選択の催告が掲載されている官報の写し 3 現在有する外国国籍を証する書面・外国国籍の離脱・喪失を証する書面等 4 日本国籍を失ったことを知るに至った経緯を証するに足りる文書(申述書など任意の形式) |
〔市区町村長への国籍取得の届出〕
届 出 人 | 国籍取得者本人または代理人 |
届 出 先 | 国籍を取得した本人の本籍地および届出人の所在地の市区町村役場またはその所在地の 日本大使館等 |
届 出 書 類 | 国籍取得届 |
添付書類等 | 1 国籍取得証明書 2 国籍取得前の身分事項を証すべき書面 |
法律上のポイント
まず、催告を受けたとのことですが、それは重国籍にもかかわらず国籍法の定める国籍の選択期限後も何もしていなかったということです。
重国籍となったのが20歳未満なら22歳までに(なお、この国籍選択届は15歳未満のときは、法定代理人が行います)、20歳以降であれば重国籍となった時より2年以内に国籍の選択をしなければなりません。
この催告を受けた日より1か月以内に日本国籍の選択をしないと、自動的に日本国籍を失うことになります。
ただし、救済の措置があり(催告が配達証明による催告書でなく、官報による催告である場合に限定されています)、「第15条第2項の規定による催告を受けて同条第3項の規定により日本の国籍を失つた者は、第5条第1項第5号に掲げる条件を備えるときは、日本の国籍を失つたことを知つた時から1年以内に法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。ただし、天災その他その者の責めに帰することができない事由によつてその期間内に届け出ることができないときは、その期間は、これをすることができるに至つた時から1月とする」と規定されています。
この措置は、国籍の選択の催告を受けて日本国籍を喪失した者が、未成年とは限りませんから、かつて日本国籍を有していたことを考慮して、届出での容易な日本国籍再取得を認めたものです。さらに、催告による場合、催告されていることを知らないのが一般的であることからの救済の意味もあります。
これをまとめると、国籍再取得の条件は、次のとおりとなります。
① 官報による催告を受けて国籍の選択をしなかったため日本国籍を失ったこと
② 現在無国籍であるか、日本国籍の取得によって現在有する外国籍を失うこと
③ 日本国籍を失ったことを知った時から1年以内の届出であること
手続のポイント
国籍法上の国籍再取得の届出によって国籍を取得したら、戸籍法上の国籍取得届出をしなくてはなりません。
書式のポイント
① 国籍取得届に印刷されている注意事項をよく読んで準備をしてください。
② 国籍取得者の称する氏は法律上当然に決定され、国籍喪失時の氏となります。
③ 国籍取得後の名は、任意に定めることができます。ただし、常用漢字・人名用漢字・カタカナ・ひらがなで書かなくてはいけません。しかし、国籍取得前にその名が通称化していたのなら、制限外の漢字を使ってもよい場合があります。